身体症状症とは?原因不明の体の不調が続くとき精神科が助けになる理由|北海道オンラインクリニック
「検査では異常なし」と言われたのに、体のつらさはずっと続いている――そんな経験はありませんか?原因不明の痛みや倦怠感が続くとき、精神科や心療内科が力になれることがあります。この記事では「身体症状症」という疾患の概念・症状・原因・治療法をわかりやすく解説し、どのように受診すればよいかをご案内します。
「検査では異常なし」と言われたのに、体のつらさはずっと続いている――そんな経験はありませんか?原因不明の痛みや倦怠感が続くとき、精神科や心療内科が力になれることがあります。この記事では「身体症状症」という疾患の概念・症状・原因・治療法をわかりやすく解説し、どのように受診すればよいかをご案内します。
目次
「頭痛や腹痛がずっと続いているのに、内科で検査をしても『異常なし』と言われてしまった」「倦怠感が取れないまま何か月も経ってしまったが、どこに相談すればいいかわからない」――こうした悩みを抱えて、途方に暮れている方は少なくありません。体のつらさは本物なのに、検査結果に反映されないもどかしさは、大きなストレスになります。
そのような状態を引き起こす原因のひとつとして、身体症状症(しんたいしょうじょうしょう)という疾患が近年注目されています。精神科や心療内科の領域で診断・治療される疾患ですが、「精神科に行くほどのことなのか」と受診をためらう方も多いのが現状です。
この記事では、身体症状症とはどのような疾患なのか、どんな症状があり、なぜ起こるのかを丁寧に解説します。また、診断の流れや利用できる治療法、そして北海道でオンライン診療を受ける方法についてもご紹介します。「自分だけがこんな状態なのだろうか」と感じている方に、ぜひ読んでいただきたい内容です。
身体症状症とは、痛みや倦怠感、吐き気、動悸などの体の症状が長期間続くにもかかわらず、医学的な検査を行っても原因となる身体疾患が見つからない、あるいは見つかったとしてもその程度で説明がつかないほど症状が強い状態を指します。
現在、世界標準の診断基準として用いられているDSM-5(精神疾患の診断・統計マニュアル第5版)では、身体症状症は以下の3つの基準を満たす場合に診断されます。
以前は「身体表現性障害」や「心身症」という言葉で呼ばれることも多かったのですが、DSM-5の改訂(2013年)にともない「身体症状症」という名称が広く使われるようになりました。重要なのは、この疾患における体の症状は「気のせい」でも「仮病」でもなく、本人にとって確かにつらい実体験であるという点です。
身体症状症における痛みや不調は、本人が「作り出している」ものではありません。脳と体の情報処理のメカニズムが関係しており、症状は本物です。「気にしすぎ」「精神的なもの」と簡単に片づけず、適切な専門家に相談することが大切です。
世界保健機関(WHO)の報告によると、身体症状症やそれに関連する疾患は一般人口の約5〜7%に見られるとされており、日本でも決して珍しくない疾患です。また、内科や外科などの一般医療機関を受診した患者のうち、最大で20〜30%が身体症状症に関連する症状を持つとの研究報告もあります(Kirmayer & Robbins, 1991など)。多くの方が「どこに行っても原因がわからない」という経験をしてから精神科・心療内科にたどり着くケースが多く、診断までに時間がかかることも少なくありません。
身体症状症の症状は非常に多様で、体のあらゆる部位に現れることがあります。代表的な症状を以下に挙げます。
これらの症状は単独で現れることもあれば、複数が同時に起こることもあります。また、症状の強さや出る部位が変動することも特徴のひとつです。「昨日は頭が痛かったのに、今日は腹痛がひどい」といった経過をたどる方もいます。
もうひとつの重要な特徴は、症状に対する思考や行動のパターンです。「この症状は何か大きな病気のサインではないか」という強い心配が頭から離れず、何度も検査を受けに行ってしまったり、症状のことを考え続けて日常生活に支障が出たりすることがあります。この「症状への過剰な注意・心配」が、身体症状症の診断において重要な要素となっています。
身体症状症と似た疾患に「病気不安症(以前の心気症)」があります。病気不安症は身体症状そのものよりも、重篤な病気にかかっているのではないかという強い不安が中心となる疾患です。自己判断は難しいため、症状が長く続く場合は専門家への相談をお勧めします。
身体症状症の原因は、現在の医学でも完全には解明されていませんが、複数の要因が複雑に絡み合って発症すると考えられています。「心が弱いから」「ストレスに敏感すぎるから」というような単純な説明ではなく、脳・神経・心理・社会的な要因が複合的に関わっています。
近年の研究では、身体症状症の方の脳において、体からの感覚信号の処理の仕方が通常と異なることが示されています。痛みや不快感を伝える神経回路が過剰に活動していたり、脳が体の感覚を実際よりも強く「脅威」として認識してしまったりする状態が起きていると考えられています。これは意志の力でコントロールできるものではなく、神経学的な変化です。
過去のつらい体験(身体的・精神的なトラウマ)、長期にわたる強いストレス、不安や抑うつといった精神症状が、身体症状症の発症や悪化に関係していることが知られています。「不安があると胃が痛くなる」「緊張すると頭痛がする」という経験は多くの方が持っていますが、身体症状症ではこのような心と体のつながりがより強く・慢性的に現れます。
過重労働、職場や家庭内の人間関係の問題、経済的な不安なども、症状の発症・継続に影響します。また、幼少期に体の症状を訴えることで周囲の関心を得た経験や、逆に「弱音を吐いてはいけない」という環境で育った経験なども、体の症状として苦しさが表れやすくなる背景となることがあります。
身体症状症は、身体的な疾患がまったくないことを意味するわけではありません。たとえば軽度の過敏性腸症候群や線維筋痛症、慢性疼痛などの身体的な背景がある方でも、症状の強さや苦痛の程度が身体所見だけでは説明できない場合に、身体症状症の診断がつくことがあります。
身体症状症の診断は、精神科医や心療内科医が問診や検査結果をもとに総合的に判断します。診断のプロセスには、大きく分けて以下のステップがあります。
まず、症状の原因となる身体的な疾患がないかどうかを確認することが重要です。内科や各専門科での検査(血液検査・画像検査など)がすでに行われている場合は、その結果を持参していただくことで、診断がスムーズになります。精神科・心療内科を受診する前に内科を受診されている方が多いですが、「内科で異常なし」という経緯も、診断の重要な情報になります。
いつから、どのような症状があるか、症状の変動パターン、日常生活への影響、症状についての考え方や心配の程度、過去の病気やストレスの経験などを詳しく聞きます。精神科・心療内科の問診は、体の症状だけでなく、「その症状がどれだけ生活を妨げているか」「症状についてどう感じているか」に重きを置くことが特徴です。
必要に応じて、標準化された質問票(PHQ-15などの身体症状尺度、PHQ-9などのうつ尺度)を用いて、症状の重さや精神的な状態を客観的に評価します。これらのツールは診断の補助として使われるものであり、質問票の点数だけで診断が決まるわけではありません。
診断には時間がかかることもありますが、焦らずに医師と丁寧にコミュニケーションをとることが大切です。「また検査で何も見つからないかもしれない」と不安を感じている方も、精神科・心療内科では「症状そのもの」を否定せず、一緒に向き合ってくれる環境があります。
身体症状症の治療は、「症状をゼロにする」ことを目指すのではなく、「症状と上手に付き合いながら日常生活の質を取り戻す」ことを目標とします。主な治療法には薬物療法と心理療法(精神療法)があり、多くの場合は組み合わせて用いられます。
身体症状症に対しては、抗うつ薬が有効であることが複数の臨床研究で示されています。特にSSRI(選択的セロトニン再取り込み阻害薬)やSNRI(セロトニン・ノルアドレナリン再取り込み阻害薬)と呼ばれる種類の薬が使われることがあります。これらの薬は、脳内の神経伝達物質のバランスを調整することで、痛みの感覚を和らげたり、症状への過剰な不安を軽減したりする効果が期待されます。
また、不眠や強い不安が伴う場合には、その症状に応じた薬が処方されることもあります。どのような薬が適切かは、症状の種類・強さ・患者さんの体質などによって個別に判断されるため、「どの薬が良い」と一概には言えません。医師と十分に相談しながら治療を進めていくことが重要です。
身体症状症に対して特に有効性が示されているのが、認知行動療法(CBT:Cognitive Behavioral Therapy)です。認知行動療法は、症状についての考え方(認知)と行動のパターンを見直すことで、症状への過剰な反応を和らげ、生活機能を改善することを目的とした心理療法です。
具体的には、「この症状は大病のサインに違いない」という考えの根拠を検討したり、症状があっても少しずつ活動を再開する練習をしたりします。研究では、認知行動療法を受けることで症状の強さや日常生活への支障が改善する効果が示されています(van Dessel et al., 2014など)。
そのほかにも、マインドフルネスに基づくアプローチや、対人関係療法、リラクゼーション技法なども使われることがあります。心理療法は「心が弱いから受けるもの」ではなく、脳と体の反応パターンを変えるための具体的なスキルを身につけるプロセスです。
身体症状症の治療では、「あなたの症状は本物だ」という前提に立って、医師と患者が共同で取り組むことがとても重要です。治療の目標や方針は、患者さんの希望も大切にしながら一緒に決めていきます。
「精神科・心療内科に行きたいけれど、近くにクリニックがない」「仕事や子育てで通院の時間が取れない」「対面で受診することへの緊張感が強い」――北海道では、地域によって医療機関へのアクセスに差があることも事実です。こうした方のために、オンライン診療という選択肢があります。
北海道オンラインクリニック(医療法人鳳應会)では、精神科専門医・精神保健指定医がスマートフォンやパソコンを使ったビデオ通話によるオンライン診療を提供しています。自宅にいながら診察を受けられるため、遠方の方や通院が難しい方でも安心して相談いただけます。
身体症状症のように、「どこに行けばいいかわからない」「これは精神科の問題なのか自信がない」という方にとっても、まず気軽に相談できる窓口として活用していただけます。初診からオンラインで対応しており、お薬の処方が必要な場合は処方箋の発行も可能です(対応可否については事前にご確認ください)。
受診の流れはシンプルで、公式サイトから予約を行い、予約時間にスマートフォンやパソコンで接続するだけです。北海道内にお住まいの方であれば、札幌市内の方はもちろん、道北・道東・道南など遠隔地の方もご利用いただけます。「まず話を聞いてもらいたい」という段階でも、ぜひご相談ください。
「精神科に行くなんて、大げさかな」「自分の症状は本当に精神科で診てもらえるものなのかな」と思っている方は多いと思います。特に、体の症状が中心の場合、「心の問題」として捉えることに抵抗を感じる方もいるでしょう。その気持ちはとても自然なことです。
ただ、ひとつだけお伝えしたいことがあります。身体症状症は、「心が弱い」「気のせい」で片づけられるような状態ではありません。脳と体の神経システムが関係する、れっきとした医学的な疾患です。そして、適切な診断と治療によって、症状の改善や生活の質の向上を目指すことができます。
以下のような状況に当てはまる方は、精神科・心療内科への相談を検討してみてください。
「受診するほどでもないかな」と迷っている間にも、症状は続き、生活の質は下がり続けてしまうことがあります。一方で、早めに適切な相談先を見つけることで、長期化を防げる可能性もあります。あなたのつらさを一緒に考えてくれる専門家は、必ずいます。一人で抱え込まないでほしいと思います。
精神科・心療内科は「重症の人が行くところ」ではありません。体のつらさを誰かに正確に理解してもらい、科学的な根拠に基づくサポートを受けるための場所です。「まず相談してみる」という一歩が、回復への入口になることがあります。
監修:道塚 瞬(精神科専門医・精神保健指定医)/北海道オンラインクリニック(医療法人鳳應会)
北海道オンラインクリニック(医療法人鳳應会)では、統括医師・道塚瞬が 日本専門医機構認定 精神科専門医および 厚生労働省 精神保健指定医の両資格を有しており、 初診から必ず専門医が担当します。
「近くに専門医がいない」「通院が大変」「プライバシーが心配」という 北海道全域の方々に、自宅から質の高い精神科医療をお届けするために、 オンライン遠隔診療を提供しています。